第二次手倉森政権が失敗した理由
①クラブとして、最優先事項がチームのトップディビジョン維持ではない
慢性的な財政難がいよいよ限界を迎えてきたクラブにとって、最優先のタスクは日銭をためて行くこと。
社長曰くそのことは「一丁目一番地」の課題である、と。
そういう事情もあり、「地方行政にも詳しい」手倉森氏を招へいした経緯からは、スカッドとしての戦力ダウンが生じようがクラブの存続は何としても可能性を上げたい、という思いが伝わります。
高年俸選手をシーズン途中で3人解雇した事実からもそれは感じますが、換金対象の実力は確実に有るような選手を、違約金を”払って”まで追い出す必要があったかは個人的に疑問です。
②結局、サッカー観は10年前の「栄光」からアップデートされていない
特定選手個人の能力や走力に依存した”属人的なサッカー”で栄光をつかみかけてしまった分、やはり氏にはそれを「至高」と感じさせてしまうのでしょう。
前々監督は、この氏とは全く違うやり方、すなわち「チームに共通のルールを設けて誰が出ても崩れないようにするサッカー」を構築して、同じく「国内2位」を達成しました。
どちらがより効率的で、そして選手に負担を強いないサッカーかはきっと明白でしょう。
誤解が生じて後出し呼ばわりされるのがイヤなので付け足すと、何も「ソリッドなサッカー」が古いと言っているのではありません。
むしろ個人的にはガチムチなサッカーこそ見ごたえがあって好きです。
大事なのは、ボール保持志向にせよ走り勝つスタイルにせよ、そこに”チームとして”やり方が統一されているかどうかです。
「理想の攻守」が特定の選手の能力に依存し(ゆえに、その柱選手をシーズン中ずっと引っ張らないといけない)、違う選手を起用してしまえば全くもってピッチ上の状景が変わってしまうようなサッカーは厳しい、というのが私見です。
③「ミス待ちサッカー」
氏が前クラブを率いていた際、他クラブに対して言い放ったこの言葉が今突き刺さっていることに、ご本人はお気づきでしょうか。
いわゆるリアクションサッカーです。イタリアのサッカーと呼ばれがちなサッカーです。
でも言いたいのはそのスタイルがダメという話ではなく、”相手がミスしてくれない限り得点機がない”現状こそがその中でも最悪の形であることです。
前線で誰もプレスを掛けなければ相手が鬱陶しがる訳もないし、チャレンジングな縦パスを入れる選手がいなければ相手としても平静を崩す必要がありません。
これでは、相手が”本当の意味でのミス”(判断も精度もまずいプレー。サウジアラビア戦のあのシーンなど)をしてくれない限り、この属人化し切ったチームでは得点の可能性がありません。
④重心が低いが、守り切れていない
③と重なりますが、一応の形としては「しっかり耐えて、攻撃ではワンチャンスを狙って行こう」という姿勢でした。
有識者は、例えばこの姿勢のもと後半75分から攻め込んだ試合を「効率的」と称されていたような気がしますが、問題なのはその試合も含め、言うほど耐えられていないことです。
最下位のチームにしては、例年の降格クラブと比べても失点数は少ない方だとは思います。
セーブ数リーグ1位のGKが後ろにいるからです。簡単な話ですね。
この彼が、幸か不幸か守備のまずさを覆い隠してしまっているので、失点数だけ見ればわりかし耐えられているようには見えます。
が、もう少し考えれば”GKがリーグ1位のセーブ回数を記録せねばならないほど、相手に好機を作られている”ことが分かり、これは全然耐えられていないでしょうと言える訳です。
もっと言えば、守備陣がダメというより、チームとしての形が無いこと、つまり
・ボール持ったけど、どうやって攻撃すればいいか分からない
・ボール非保持の味方も、どこのスペースに自分は身を移せばよいか、決まってないから分からない
・そうしてもたついている間に相手にボール取られる
・想定外のタイミングで取られちゃったので、想定外の位置取りや距離感でとりあえず後方へ追いかけるしかない
・FPじゃもう捕まえられない、あとはGK頼む
これを何回も何回も再現してる限りは二部でも厳しいです。
それでは最後に、現状はともかくとして来年以降どうすべきなのってところで持論を述べると、まずはクラブ存続が最優先なのでそこは経営のプロの人にうまくうまいことやってもらって(分からん)、
ピッチ上の話に限定すれば、局面ごとの立ち位置とか距離感にルールを設けられないならば、フィジカル強化の優先度を最重要にして「前プレ・ロングボール・露骨なCK狙い」サッカーで涼しい時期をゴリ通していくのが目下の現実的な理想です。
非現実的な理想は急に石油王がこのチームを気に入ることです。
もちろん、いちサポーターとしてはこれからの試合全部勝って、他の残留争いクラブが全部負けてくれることを心から祈っています。
ただあくまで、シーズンという長距離マラソンを振り返ってみての観察と感想でした。
今日の試合も、勝ってくれると祈ります。
金色の戦士たちが、ユアスタに勝利の女神を連れ戻した
2021年5月1日 15時59分
518日ぶりに、我らがベガルタ仙台はホーム・ユアテックスタジアムでの勝利を手にしました。
忘れられないビッグゲーム。その振り返りを行っていきたいと思います。
【選手採点・寸評】
GK クバ 6.5
今日も抜群の安定感。電柱FWが来ようが、お構いなしの堂々たるクロス対応。チームの守備が良く、「魅せ場」はなし。
DF 真瀬拓海 7.5
前25番の幻影を見てしまうほど、常人離れした走力を披露。試合終盤には、最前線からの守備で相手を左SBの位置に圧殺した。
DF 吉野恭平 8.0
今までの不安定さはどこへやら。足元で刈り取る守備で呉屋、江坂から自由を剥奪し、闘犬は吠え続けた。
DF 平岡康裕 8.5
このベテランは接触を怖がらない。通常では無理に見える局面でも、足から頭から突っ込んで紙一重をかき出し続けた。
DF 石原崇兆 8.0
一流のドリブラーから超一流の守備職人へ覚醒。スペースを消し続け、いざという場面では頭から突っ込んでゴールを死守。
MF 上原力也 6.5
そのレーザーミドルはチームへの合図となった。回収屋・供給源として無駄のない動きを披露し、味方との好連携も見せた。
MF 松下佳貴 6.5
変態のスキルショーは休演となったが、今日は闘犬の役目を全う。飄々とした顔つきのまま、物怖じせずに江坂らを潰した。
MF 加藤千尋 6.5
足元の安定感にはまだ課題を残しつつも、位置取りのセンスはやはり抜群。何度も敵陣でフリーになり、パスの宛先となった。
MF 関口訓充 7.0
改めてその背中の大きさを実感。7番の存在によって、中盤でタメを作れる時間やピッチ上の声量が大幅に増加した。
FW 赤崎秀平 6.0
この一勝は彼に捧げるものでもあってもらいたい。プレーの内容以前に、弱り目に祟り目の状況から無念の途中離脱。
FW 西村拓真 7.5
100回シュートを外そうが、101回目もトライして決め切るのがこの男。18年の渡欧以降消えたその姿が、ついに復活した。
MF 氣田亮真 6.5
攻撃面での判断の雑さなどはまだ残る。ただ、大事なのは終盤で前線からの守備や全力のクリアで勝利に貢献したことだ。
DF 蜂須賀孝治 6.5
スピードは衰えても、その両足は衰えない。レーザービームで決勝点を生み出し、その後はクローザーとして引き締めた。
MF フォギーニョ 6.5
オレの前に立つヤツは全員潰す。そう言わんばかりの風貌を、このデビュー戦のプレーでしっかり証明した。今後のホープ。
DF 照山颯人 7.0
相手のパワープレーを壁となり跳ね返しただけでなく、正確なフィードを敵陣右サイドに当てて時間稼ぎ。next平岡となれ。
【試合レビュー・精神論】
90分の流れは完全に相手に有った。ただその中でも、90分間を平等に分け与えられるのがサッカーというスポーツ。
相手が執拗に続けたクロス爆撃も、あと一歩精度と呼吸が合えば確実に決められていた。
また、仲間を中心とした3列目の闘犬型守備を前に、加藤や松下の足元がもたついて前へ運ぶ余裕を奪われたのも事実。
ただそれでも、仙台としては最後まで守備の集中を切らさず、ワンチャンスをしたたかに決め切ったのが勝ち点に繋がった。
攻撃で連動性が取れないなら、そこは個人任せにして守備の連動性に注力すればいいじゃない。
マリーアントワネットも驚きの心意気で、518日ぶりのホーム勝利をもぎ取ったベガルタ仙台。
今日は内容がどうとかではなく、目先の結果"だけ"が欲しかった試合。
その到達困難な目標を成し遂げたベガルタ仙台は、堂々たる顔をして次節以降にも臨んでいくほかに道はない。
絶対にJ1に生き残り、あいつらまだ居座ってるのかと言わせるために必ず勝ち続けよう。
いま切り拓け。魂焦がして。
2021・J1順位ガチ予想
皆さん、こんにちは。最近、温かくなってきましたね。
今回は、20チームで戦う2021シーズンJ1の年間順位をガチ予想します。降格4枠予想も今年は明記します。
その前に「理想順位」を
1位 ベガルタ仙台
2位 川崎フロンターレ
3~20位 その他
なるべく早くこうなってほしいです。
さて、そろそろ本題へ。各チーム、一言コメント付きでいきます。
1位 名古屋グランパス
主力抜けを完璧に防いだどころか、適材適所に即戦力を補強。「マッシモスタイル」が本当に完成しそう。個で魅せられる森下や柿谷は良いスパイス。
2位 横浜Fマリノス
エウベルがエリキ並みに計算が立ち、オナイウの安定感が増せばいくらでも回せるはず(色々な意味で)。今年はACLもないので伸び伸びやれる。
3位 川崎フロンターレ
陣営の破壊力はJ1レベルを超えており、守田の後釜もしっかり獲得。ただ、バックラインの4名に替えが効かないのが昨季からの不安材料。
4位 鹿島アントラーズ
エヴェ、上田、アラーノのトリオが健在な限り、あらゆるパターンから得点はできる。ただ、そこに比べてセンターバックの脆さは否めない。
5位 コンサドーレ札幌
名古屋と同じく主力の抜けを防ぎ、「ミシャスタイル」の続きをできそう。異なる点および懸念点としては、プラスアルファの補強が控えめなことぐらい。
6位 清水エスパルス
とりあえず強カードを連れてきたというのではなく、知将ロティーナがそこをうまく組み立ててくれるはず。鈴木義、原、片山はスタイルに合った補強。
7位 ガンバ大阪
スカッドの強さで言えば確実にトップクラスだと思うが、監督の力量がそこに追い付いていない感は正直昨季も感じた。下位への慈悲試合さえ無くせば・・・
8位 柏レイソル
オルンガが居なくたって、クリス発射砲台からゴール前に当て、その後方を江坂が液体のように狙い、逆サイドを走り屋瀬川が埋めている限りは夢を見られる。
9位 FC東京
可も不可もないオフシーズンを過ごし、昨季の延長をどう描くか。今年頭にルヴァンを制覇した、「圧」で勝負を決めに行くサッカーを継続しそう。
10位 サガン鳥栖
多分強い。昨季にユース勢を実戦で育てた財産はきっと大きいはず。パギ含め、後方には即戦力クラスの実力者を複数獲得してバランスも良い。
11位 横浜FC
物足りなかった前線に実力者を数多く補強。指揮官の教え子・手塚の買い取りも大きく、昨季からのさらなる積み上げを見せてくると予想。
12位 浦和レッズ
リカルドヴォルティスを支えた岩尾憲の役目を誰が担うかが最も重要。攻撃は今年も興梠依存になりそうだが、明本らがサプライズを見せられるか。
13位 サンフレッチェ広島
一軍の陣営はなかなかしっかりとしているが、サブ組との実力・実績の差は否めず。ペレイラの穴は重戦車サントスの加入でそれほどなし。
14位 ヴィッセル神戸
三浦アツの限界感は正直否定できない。リンコンのフィット感次第で上位にも食い込めるだけの戦力を揃えるが、それをどうまとめるか。
15位 ベガルタ仙台
広島と同様に、一軍に何らかの戦線離脱が生じた際にチームバランス大幅低下のリスクあり。左SBの本職が不在なのも懸念材料。
16位 アビスパ福岡
J2であれば確実に無双できるであろうスカッド。しかし肝心のJ1では、全体の経験不足(最多で奈良・金森の99試合出場)が敗戦時に尾を引きそう。
17位 湘南ベルマーレ
これといった穴はないが、これといった武器も欠く印象。名古や中村の加入で中盤は充実しており、繋ぐサッカーにさらなる磨きをかけるか。
18位 セレッソ大阪
たとえ陣営が立派でも、混迷の途につくとズルズル行ってしまいがち。クラブは「逆コース」へと舵を取った。ヨニッチの中国移籍も堅守に大危機。
19位 大分トリニータ
鈴木の流出は最もあってはならないシナリオだったはず。ゴールへの逆算で考えるサッカーを最大限支えた鉄人の代役は、決して簡単ではない。
20位 徳島ヴォルティス
良くも悪くも、指揮官を除いて昨季と陣営がほぼ変わらない。そのチームが、新指揮官のもとJ1で1年闘い抜くのは試練の連続かと率直に感じる。
以上です。
自動降格4枠、改めて今季はシビアな世界と感じました。
お前らJリーガーの最初の推し誰だよ
※この記事は、2019年当時に現・ベガルタ仙台スタッフの菅井直樹氏がプロサッカー選手を引退した際に書いた文章を、そのまま引用しております。そのため、現時点と幾分かのタイムラグがございますが、なにとぞご容赦ください。
(元の記事のURLから直接引っ張らないことについての、引くほどどうでもいい理由↓
以下の文章は当時保有していたアメブロのページより投稿しましたが、パス忘れ&再発行のモチベの無さによりアメブロ垢を放置。その他の記事はクソみたいなのしか投稿してなかったので、そこを掘り返すよりいっそ現行のブログの方でもう一度載せ直す方がすっきりするかな、と思ったが故です。)
本日2019年1月6日、私がサッカー界で最も尊敬し、そして誰よりも憧れたサッカー選手・菅井直樹選手(34)が現役引退を発表しました。
今オフは入れ替わりの激しいベガルタ仙台というチームにおいて、A契約枠の問題等もあるので菅井選手の引退は薄々あるかもしれないと感じておりました。
ですが、実際に本人からの発表があると、やはり驚きとショックを隠せないというのが率直な感想です。
菅井選手は正真正銘、私にベガルタ仙台というチームを、そしてJリーグというリーグを知らせてくれた第一人者でした。
菅井選手がいなければ、間違いなく今の私はなかったです。
私が菅井選手を最初に知ったのは2011年でした。
ちょうど東日本大震災が起き、東北は非常に苦しい日々を過ごしていた時期です。
私は仙台出身ですが、その時はすでに関東の方へ移っており、いわば「被災者」ではない立場でした。
そんな中、私の中では2010年に開かれた南アフリカワールドカップのサッカーブームがまだ尾を引いていて、全国ニュースのサッカー速報なども逐一チェックしていました。
それで、春ごろだったと思います。
当時、名前だけは知っていた地元チーム・ベガルタ仙台が震災での中断明け以降快進撃を続けているというニュースをたびたび見かけます。
その時はまだ所属選手の名前はおろかJリーグが何者かすらも知らなかったのですが、「太田・赤嶺・菅井」が当時のメインスコアラーであることを数々の試合速報から頭に入れました。
また、仙台については被災地クラブという立場なだけに、「被災地に勇気を与えるサッカー」というのがキーワードとして、強く私の胸に残りました。
当時は名前も知らなかったメガネの監督が、試合後のインタビューを号泣して切り上げる姿はとても印象的でした。
私は先述の通り勇気をもらう立場ではなかったのですが、チームが被災地に勇気を「与える」姿を見て、本当にカッコイイと感じていました。
そうして私はベガルタ仙台というチームに少し興味を抱き始めます。
幸いにもワールドカップのおかげでサッカーの知識はある程度あったので、チームやリーグの「勝手」を知るのに時間はかかりませんでしたが、ベガルタ仙台を知れば知るほど私は衝撃を受けます。
・前シーズンは降格の危機にあったこと、・メインスコアラーの1人の菅井はDFであること、・震災が起こる前から、他のどのクラブよりもお金がないこと、・選手はほとんどが他クラブで出番に恵まれなかったクラスの選手であること、・それでも一致団結して「被災地に勇気を」を鍵に粘り強く上位戦線に居続けていたこと、などです。
ピッチ上の文脈では語り切れない部分にも大いに魅力と衝撃を感じ、ますますこのチームに惹かれました。
そして菅井選手についても、DFながらFWさながらの動きを見せてゴールを量産するその意外さ、しかし守備にもしっかり顔を出す不思議さ、驚異的なジャンプ力、関口さんや角田さんと真逆に静かに背中で語る独特なオーラから、一種の「憧れ」が私の中で芽生えました。
そして、今まで自分が見てきた数多のサッカー選手の中でダントツで「異彩」を放つこの菅井選手をもっと知りたいと思い、そこからベガルタ仙台の試合、さらにはJリーグの試合を追っていくようになりました。
すなわち、今の私のJリーグ観戦癖は、菅井選手がいたからこそ生まれたものです。
そして2011年の8月、大宮のNACK5スタジアムにて仙台のアウェイゲームが行われるということだったので、生まれて初めて現地観戦に赴きました。
私の注目していた菅井選手はいつも通りスタメンに名を連ねていました。
試合は前半にミスなどから大宮に2点を先行され、0-2で折り返します。
ゴール裏からはブーイングが飛びました。
後半に赤嶺のゴールで1点を返しますが、その後なかなか追い付けず、中島や中原などのFWを立て続けに投入しても追い付けずに終盤を迎えます。
しかし、そこで迎えたCKのチャンス。MF松下のクロスに高さのあるCB・チョビョングクが頭で合わせます。
これはポストを直撃し、このチャンスもダメかと私も周囲のサポーターも確信しました。
しかし、競り合いの中でピッチに倒れた選手が精一杯足を伸ばし、つま先で押し込んでついに同点弾を奪います。
あまりにも一瞬の出来事で最初は本当に誰かわからなかったのですが、場内のアナウンスで菅井選手のゴールだと知ります。
現地で観ていても目が追い付かないプレー、これが菅井直樹だということを知らしめられた、一生忘れられない試合でした。
それからも引き続き試合を見続け、時には現地でも観戦しましたが、やはり菅井選手のプレーはボールに触れるまで全くもって予測不能でした。
そしてそのたびに、面白くて、なおかつ憧れて思わずニヤついてしましました。
2013年には25番の入ったレプリカユニフォームを買いました。
今私が持っている唯一の番号付きレプリカユニフォームです。
試合では年を経るにつれて出番もどんどん減少しますが、少ない出場時間の中でもその動きの神出鬼没さや日本人離れした身体能力の高さは健在でした。
「何でそこにいるんだよ!」とは何度言ったかわかりません。
1秒間で2本シュートを打って2本目を沈めた11年のホームC大阪戦、右SBなのに右サイドからのクロスにFWの立ち位置で合わせた12年のアウェイ清水戦、相手DFのバックパスミスをなぜか一番に掻っ攫ってゴールに流し込んだ13年のアウェイ磐田戦、5秒でハーフラインからゴール前まで瞬間移動して1対1を決めた14年のホーム徳島戦、下がりながらの体勢ながらかなりのハイジャンプで金園のボレーをアシストした15年のホーム鳥栖戦、そして石原のシュートミスに体ごと突っ込んでねじ込んだ17年のアウェイ清水戦は非常にスペクタクルなシーンでした。
現役最後の試合となった2018年最終節アウェイ神戸戦でも、試合終盤に見せたプレーには驚きました。
ビハインドの状態での平岡との交代で3バックの右に入りながら、左サイドからペナルティエリア右のスペースへのスルーパスに誰よりも早く反応して完璧な位置に走っていました。
軌道上にいたジャメがもしスルーしていれば、菅井選手はフリーでGKと1対1になっていました。
結果的にはピッチで見られる最後の瞬間となったその試合でも「らしすぎる」動きを見せていた分、まだまだやれるとは私自身勝手ながら思っていました。
ベガルタ仙台はA契約枠などの問題があるとはいえ、J2やJ3の他クラブへ移籍したならばスタメンも張れると感じていました。
ただ、それでも今まで菅井選手がたびたび口にした「ベガルタで引退する」という約束を守ることを選択したご本人の意思を、私は精一杯尊重したいと思います。
プレーのみならず、ゴールに喜び過ぎて札幌ドームの溝に落下する姿、デジっちで「無音」の時間を全国に届けた姿、サプライズの誕生日パーティーに仕掛け人よりも早く現地入りしてしまう姿、しかし後輩の面倒をしっかりと見て向き合ってくれる姿、苦しい時も表情ひとつ変えずチームメイトを励ます姿など、その仕草ひとつひとつが一生忘れられない選手でした。
最後に、16年間の現役生活本当にお疲れ様でした。夢を与え続けてくれて本当にありがとうございました。
一緒にベガルタを愛してくれてありがとうございました。引退しても、私の中では一生憧れの選手です。
そして、これからはスタッフとして引き続きベガルタをよろしくお願いします。
ベガルタ仙台 2021 補強総評
明けましておめでとうございます。kanameです。今年初の投稿です。今年もよろしくお願いします。
さて、表題の通り今回は今オフの補強についての展望を、私なりに簡単に綴っていきたいと思います。なお、記事の情報は1月16日時点のものとします。
Out
GK 川浪吾郎→広島
GK 関憲太郎→山口
GK イ・ユノ→未定
DF 柳貴博→レンタル終了→札幌
DF 金正也→未定
DF 飯尾竜太朗→未定
DF 常田克人→松本
DF パラ→未定
MF 椎橋慧也→柏
MF 浜崎拓磨→松本
MF 兵藤慎剛→未定
FW ジャーメイン良→横浜FC
FW 山田寛人→レンタル終了C大阪
FW アレクサンドレ・ゲデス→レンタル終了→帰国
FW 長沢駿→大分
In
GK 井岡海都←仙台大
DF 真瀬拓海←阪南大
MF 上原力也←磐田レンタル
MF 秋山陽介←名古屋
MF 長倉颯←岐阜
FW マルティノス←浦和
純粋な選手数を比較してもわかるように、補強はもちろん「補充」もできていない感じは決して否めません。
ただでさえ自動降格圏で終わった昨季から、絶対にレベルアップが必要な状況下でしたが現実はむしろその逆に終わってしまいました。テグ氏の神通力がよっぽど効かない限り、正直今年は厳しいと思います。
全体の総評はこのへんにして、新加入選手それぞれの紹介。
・No.2 MF 秋山陽介
左利きのチャンスメーカー。名古屋と磐田では主に左SBとして使われましたが、どうやら本職ではない様子。それでも、チームに左SBがとにかく少ない状況下ゆえに仙台でもここでの起用がメインになるかと思います。プレースタイルは、ミドルの怖さと引き換えに足の速さを得た松下、という印象です。つまりテクニック型です。
・No.5 DF アピアタウィア久
昨年J1でも経験を積みましたが、リーチの長さや競り合いの迫力は十分に即戦力クラス。あとは足元の安定感やカバーリングのスピードでどれだけ平岡に迫れるか。タレント性はピカイチだと思うので、試合経験を今後も積んでもっともっと伸びることに期待です。
・No.6 MF 上原力也
よく磐田は放出を容認してくれたな、という逸材です。ボールを刈り取る仕事もまっとうしながら、何より前への活力を与えてくれます。勇敢な縦パス、積極的なドリブル、そしてパンチのあるミドルシュートでラインをグイグイと押し上げていきます。松下のよき相棒となってチームを救ってほしいです。
・No.19 FW 皆川佑介
自分で決め切る力は正直低いですが、その分味方を生かすプレーに特化しています。2トップでセカンドトップ気味に使うか、シャドーで使うと最も効力を発揮するタイプ。唯一キャリアで二桁得点を達成した熊本時代は、アン・ビョンジンとのツインタワーを組み、サイドを無双する田中達也のクロスに合わせまくっていました。
・No.20 FW マルティノス
補強の一番の目玉。左サイドのクエンカがヌルヌル系なら、右の彼はキレキレ系です。波の大きさは同じレフティーのハモン・ロペスに匹敵しますが、最大能力値は爆発的です。調子のよい時は、ロッベンのように「形は熟知しているのに止められない」選手となります。悪い時は小指で接触しても弾んで跳ねて転がります。
・No.21 GK 井岡海都
失礼な話、彼の特徴を不勉強にして全く知らないのですが、安心信頼の仙台大学なのでいつかチームに必要不可欠なプレイヤーへと育ってくれるはずです。また、現在のチームは憲太郎・吾郎・ユノのGK3人が退団。クバ・小畑の間をつなぐ精神的支柱としての第3GKの立ち回りにも期待がかかります。
・No.24 MF 長倉颯
率直なところ、彼をイレギュラーな契約で獲得したクラブの指針には疑問感が拭えないのですが、彼自身に頑張ってほしいという思いは変わりないです。J通算11試合の出場で、正直どんな特徴のある選手なのかもわかってないのですが、右利きでMF全般とSBをできるらしいです。岐阜サポ曰く、戦術理解度は高いがスタミナに難あり。
・No.25 DF 真瀬拓海
25番を背負った右SBには、相当な覚悟を感じられます。昨年はJ1で多くの試合に出場し、タッチライン際でボールを落ち着かせる・それを一番無難な味方にしっかり通す、の基礎的なところはかなり安定していたよう見受けられました。なので、期待すべきはその殻を破る大胆なプレー。25番のDNAはテグ氏の元でどう継がれるでしょうか。
・No.26 MF 加藤千尋
4年間の大学生活で、4年目にしてトップチーム昇格を果たし、そこから一気にプロ内定を勝ち取った苦労人of苦労人。メインポジションはインサイドハーフで、昨年の関東大学リーグでは22試合中19試合に出場して14得点を記録。2列目からスルスル出てくる攻撃センスの良さは、ゼロトップ起用でも活きるかもしれません。
以上です。皆さん体調に気を付けて!
ベガルタ仙台2020 全出場選手レビュー
今季出た全選手のレビューを、なるべくフラットなコメントつきで行います。さっそく行きましょう。
GK
ヤクブ・スウォビィク(クバ):S
低迷したチームの中で別格の存在感を披露。確実な1点モノを試合中に複数回防ぐ姿はワールドクラス。彼がいなければ毎試合4失点は確実だった。また、ロングフィードの技術も向上。猛プレスの相手を軽くかわし、逆サイドの味方に正確に当てて攻撃の起点にもなった。
小畑裕馬:C
トップチームで初めて出番を得るも、トップレベルの壁を実感。PKストップやレーザーパスなどの見どころもあっただけに、今後に期待。
DF
蜂須賀孝治:B
突破力やクロスチャンス力はさすがであったが、複数回の負傷離脱でトップフォームは見せられず。全体を通して今季はアジリティを欠いた。
飯尾竜太朗:C
軽率な守備対応や縦パスの雑さが目立ったものの、秋場に見せた気迫の突破力は可能性を感じさせた。ただ、それでも安定感で蜂須賀らに大きく後手。
柳貴博:C
指揮官の教え子として重用されたが、マークのロストやクロス精度の低さはSBとして致命的であった。一方で、単独突破の上手さも十分に披露。
真瀬拓海:大学生のため採点対象外
けが人が相次いだ夏場に、穴埋め要因として毎試合ウイングに駆り出される。突破力やクロスの鋭さはまずまず。蜂須賀に迫りたい。
アピアタウィア久:大学生のため採点対象外
縦パスの雑さは気になるものの、カバーリングのスピードや身体能力は十分にJ1でも通用。正式にプロ入り後どれだけ化けるか。
金正也:C
縦パスの起点としての役目はまずまず果たしたものの、身体を入れる雑さも目立ち、簡単にFWにはじき飛ばされるシーンが散見された。
シマオ・マテ:B
大きく出遅れ、昨年ほどの「ビーストぶり」はなかなか見られず。立っているだけで相手を吹き飛ばし、超人的な垂直飛びを見せる姿が見られたのは大分戦以降だ。
平岡康裕:B
守備が現場任せであればあるほど、ますます際立ったのが彼のブロック力。ただ、カバーリングのスピードは年齢による衰えを隠せなかった。
照山颯人:B
想定よりもかなりすんなりとJ1に適合。ロングボールをしっかりと芯ではね返し、足元では何本も鋭い縦パスを披露。板倉になってほしい。
吉野恭平:C
DFとしてのパフォーマンスはかなり不十分。フタをする役目と、1本目のパスを入れる役目が得意であるからこそ、ますます4バックのCBとしては厳しかった。
パラ:C
縦への突破力やクロスの鋭さは光ったものの、左足しか使えないことが相手にバレ始めた秋以降は、パスコースを完全に遮断されてブレーキになってしまった。
MF
椎橋慧也:B
軽率なパスミスでチームのビルドアップを止めてしまう場面は何度もあったが、インターセプトなど守備面での貢献や、33試合先発の鉄人力は◎。
中原彰吾:D
落ち着いたプレーができたのは前を向いたときのみ。後ろ向きで持った際には簡単につつかれ、大ピンチのきっかけになるシーンがいくつもあった。
兵藤慎剛:B
最も「コスパのよかった」プレイヤー。短時間で流れを変えられる戦術眼と技術はさすが。ただ、柏戦での腕骨折など今季もなぜか不運が続いた。
田中渉:D
中原と同様、前を向いたときのみボールを捌けるプレイヤー。中盤でやっていくには、後方にもらいに来る動きやそれを半身で受ける動きがもっと欲しい。
佐々木匠:D
良かったのはガンバ戦のみ。止まって待つだけの癖は抜けず、今季もJ1で結果を残せず。動かない限りチャンスは来ない。
浜崎拓磨:B
止まったボールを蹴る技術は確実に代表レベル。問題は、流れの中でもらう動きが少ないこと、縦パスをなかなか入れられないこと。活動量を上げたい。
松下佳貴:A
ピッチを俯瞰的に見られる視野、そこで描いた図像を現実化する技術はさすがの一言。彼が居るだけでプレーエリアが3次元空間にも広がる。
関口訓充:C
モチベーターとしての存在感はたしかにあったものの、不用意な喧嘩癖やシーズンノーゴールはマイナス点。ピッチ上での行動で最後まで示せなかった。
石原崇兆:C
根本的なプレー精度の低さは最後まで解決せず。ランニングのタイミングや味方との距離間は良かっただけに、この問題の根深さがますます際立った。
イサック・クエンカ:B
「動きながらボールキープできる」ことは、前にボールを運びながら味方に位置取りの調整の時間を与えた。欲しかったのは目に見える結果だけ。
FW
赤﨑秀平:D
ファンに抱かせた期待に、現実は遠く及ばず、1ゴール・1アシスト。この2シーン以外で見どころはほとんど訪れぬままシーズンが終わった。
アレクサンドレ・ゲデス:C
謎のウイング起用時には鈍足さが目立ってしまったが、CF起用時に見せたタメの上手さとヘッドの威力は◎。ただ、能力と比べて5得点は物足りない。
西村拓真:D
今季は期待外れに終わってしまった。持ち味であった仕掛けの意識や飛び込む勇敢さはあまり見えず、課題としていたパスセンスの低さばかり際立った。
ジャーメイン良:B
プロ入り後、ようやくJ1でも怖さを見せられたシーズン。速い縦パスも足につくようになり、そのままトップスピードでゴールまで持ち込めた。
山田寛人:B
根本的なプレー精度の低さを未だ残すも、ウイングで出場を重ねてアジリティが飛躍的に向上。半身で受け、アシストしやすい位置に運ぶ術を身に着けた。
長沢駿:S
腕章を巻き、誰よりも走り、誰よりも空中で競り、そして誰よりも多くの結果を残した。苦手だったポストプレーも秋ごろから「武器」にすらなり、山田らとは阿吽の呼吸を披露した。
監督
木山隆之:D
良かった点は、チームに強い競争意識を根付けたこと、また選手から慕われる人柄の柔らかさだろう。1年間、お疲れ様でした。
以上です。
来季に向け、何人ものショッキングな退団が相次ぐと思いますが、市民クラブでも何でもいいから、「ゴキブリのような生命力(他サポがベガルタに対して放った誉め言葉)」を見せてJ1に残って欲しい。
ある意味、わざわざ降格なしの特例シーズンに17位に落ちたのもゴキブリ具合を見せつけたのかもしれない。
そのためにできること、少額ではあるだろうけれどもクラブへの協力、これは私自身もこのタイミングでしっかり行っていきたいと思います。
来年こそ逆ホームシックが解消しますように。